
博多の台所、柳橋連合市場とは!(雰囲気最高です)
はじめに
福岡市中央区に位置する「柳橋連合市場」は、地元の人々から「博多の台所」と親しまれる伝統的な市場です。
新鮮な魚介から青果、精肉、練り物、加工品まで幅広くそろえ、プロの料理人も通う市場としての顔を持つ一方、観光客や食に興味がある人にも独特の魅力があります。
本稿では、市場の概要、歴史、見どころ、営業時間・アクセス、利用者目線での楽しみ方などを整理しながら紹介します。
概要:柳橋連合市場とは
市場の立地・規模
柳橋連合市場は、福岡県福岡市中央区春吉1-5-1にあります。
市場の通路は約100メートルほどで、両側に約50軒前後の小売店が軒を連ねています。
通路幅は3メートル程度とされ、昔ながらの密度感ある商店街の雰囲気を残しています。
この市場は「卸売」とは異なり、各店舗が個別に小売で一般客・業者向けに商品を提供するタイプの市場で、対面販売が基本です。 そのため、日常的な食材購入の場であると同時に、目利きの楽しさ、店主との交流といった魅力も併せ持っています。
主な取扱品ジャンル
市場では下記のようなジャンルの店舗が見られます。
鮮魚・海産物店(魚・貝類・カニ・ふぐ等)
練り物・かまぼこ、乾物・干物、味噌・漬物といった加工食品系
青果店(野菜・果物)
精肉店(肉全般)
食堂・飲食コーナー(鮮魚店直営や軽食系店も)
その他:化粧品店、製茶店など食品以外のジャンルも少数あり
こうした多様な品ぞろえが、市場を「一つの食文化空間」として楽しませてくれます。
利用者・取引先の特徴
柳橋連合市場は、地元住民だけでなく、料理店・料亭・ホテル・飲食店などプロの業者が仕入れに来る場としても知られています。市場の売上のうち、約7割が業務用(飲食店向け)とする情報もあります。
また、スーパーなどでは扱われない珍しい魚種や高級魚も並ぶため、目利きや珍味探索を好む人にとっても魅力的な場所です
近年は観光客の来訪も多く、旅番組やウェブメディアでの紹介を通じて「市場ツーリズム」の対象ともなっています。
歴史と変遷
始まりと成立
柳橋連合市場の起源は、大正期またはそれ以前に遡るとされる説が有力です。一説には、1917年(大正7年)頃、那珂川にかかる柳橋付近で鮮魚商が魚を売り始めたのがきっかけと言われています。
ただし、別の情報では「1918年7月」創業と記されることもあり、歴史年号については複数説が併存しています。
市場の前身として、「明(あきら)市場」という店を始めたという伝承も残っており、当時は大浜の魚市場から魚を仕入れ、大八車で運んで販売したとの記録があります。
このように小規模に始まった商売が、周辺のサービス市場、中央市場など周辺施設の成長とともに拡大。戦後には、いくつかの市場組合が統合して「柳橋連合市場」が成立しました。
組合化と現代運営
戦後の混乱と再建期を経て、いくつかあった小組合が連合体としてまとまり、「連合市場」の名称を用いるようになりました。
1992年(平成4年)には、柳橋連合市場協同組合が法人として設立されたとの記録もあります。
これにより、組合としての統一的な運営や活動(共同宅配、イベント・売出し企画など)が強化されました。
過去には、市場中央に掲げられていた大看板が撤去されるなどの変化もあり、将来の土地開発や建て替えの議論も囁かれています。
市場界隈には高層ビルやホテル建設計画の動きもあり、再開発との関係性も注目されています。
また、比較的近年では、市場内に新しい飲食店(例:鮮魚店直営の海鮮食堂「食堂 光」など)が開業し、来訪者にとっての楽しみ方が拡張されています。
古い風情と持続の価値
市場そのものの建物構造や通路の雰囲気は、昭和の風情をたたえる古き良き面を多く残しており、60~70 年代当時の写真と比較しても変わらない佇まいが感じられる、という記述もあります。
これは市場が時間の経過に耐えつつ、都市の中で歴史を刻んできた証しとも言えます。
営業時間・定休日・アクセス情報
営業時間・定休日
柳橋連合市場の営業時間は各店舗によって異なりますが、概ね 午前8:00 ~ 午後5:00〜18:00 の間で営業する店が多いようです。
具体例として、吉田鮮魚店は 7:00 ~ 17:00 で営業(定休日:日・祝)とする店舗情報があります。
また、幸村英商店(海産物店)は 8:00 ~ 17:00 と案内されています(定休:日曜・祝日)
定休日は基本的に 日曜・祝日 ですが、年末年始やその他臨時休業日もあるため、訪問前には各店の営業状況を確認することが望ましいです。
市場公式サイトによれば、年末には一部店舗が 12月29日(日) に営業を行う例もあるとの情報も出ています。
アクセス・交通手段
公共交通機関を利用する場合、以下のルートが代表的です。
・西鉄バス「柳橋」停留所下車すぐ
・地下鉄七隈線(天神南駅 → 渡辺通駅)を経由し、徒歩数分
・博多駅からバスで約6分(「柳橋」行き)
・車の場合、都市高速などを使ってアクセス可。ただし市場には専用駐車場がなく、周辺の有料駐車場を利用する必要があります。
また、訪問時は車での乗り入れや長時間駐車は難しいので、公共交通機関の利用を強く推奨します。
見どころ・おすすめスポット
市場を訪れる際の楽しみ方や注目ポイントを、利用者目線で紹介します。
1. 鮮魚・海産物の品揃えと鮮度
市場の中心的顔である鮮魚・海産物店は、玄界灘・有明海でとれる魚介を中心に扱っており、地方ではなかなか見られない魚種や高級魚も並ぶことがあります。
例えば、ふぐ(「ふく」)やノドグロ、アラ類などを見かけることもあります。
また、市場ならではの「半身販売」「切り身」の対応がある店もあり、使い勝手が良い点が魅力です。もっと福岡-
特に早朝の時間帯では、荷下ろし・競りの様子が間近で見られる可能性があり、活気ある市場の“顔”を見ることができます。
2. 食堂・飲食店で味わう市場グルメ
市場内や入口近くには、鮮魚店直営の食堂や海鮮丼を扱う店があり、買った魚をその場で調理してもらうか、既製の料理を楽しむこともできます。
代表的なものとして、「柳橋食堂」が挙げられ、胡麻鯖丼などの名物メニューが提供されています。
また、最近では「食堂 光」という海鮮食堂が市場の中程に開業し、カジュアルな雰囲気で海鮮料理を提供しており、散策の途中の食事スポットとして注目を集めています。
3. 売出し・イベント企画
市場では定期的な売出しやイベントも行われています。例えば、毎月第3木曜日には魚商組合による「定例売出し」が催され、特価販売や催事企画が見られます
また、11月第1日曜日には「うまかもん祭り(柳橋連合市場大起業祭)」が実施され、市場全体が賑わう日とされています。
こうした売出し企画を狙って訪れると、お得に買い物できる可能性が上がります。
4. 昔ながらの町並み・風情を感じる散策
市場通路の両脇に所狭しと並ぶ看板、品物、店主の威勢のいい声。細部に目をやると、鉄骨の梁、経年変化を帯びたタイルや看板など、昭和・戦後期の面影を残す造りが残っています。
こうした風景は、単なる“買い物市場”という枠を超えた、都市の記憶を刻む空間としても味わいがあります。
また、訪問者として店主と言葉を交わしながら商品の由来やおすすめを聞くのも、この市場で楽しめる交流体験です。
5. おみやげ・宅配対応
多くの店舗では全国宅配の取り扱いが可能で、おみやげとして地方発送を利用することができます。
特に魚介・加工品は宅配できる店を探しておくと、旅行者にとって島外や県外への持ち帰りがしやすくなります。
また、少量・簡易包装での配送が可能な店も多いため、荷物制限がある旅行中でも利用しやすいというメリットがあります。
訪問者向けの注意点・ヒント
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早い時間帯が狙い目
多くの鮮魚店は早朝から仕入れ・準備段階に入るため、9時前後〜午前中の時間帯が最も活気ある場面を見られる可能性が高いです。
ただし、店によっては朝7時頃から開くところもあるので余裕を持って訪問するのがいいでしょう。-
定休日・休業日の確認
日曜・祝日は休業する店が多いため、訪れる日は要注意です。事前に市場ウェブサイトや各店の連絡先で休業情報を確認しておくと安心です。 -
駐車環境に注意
市場には専用駐車場がなく、周辺の有料駐車場を利用する必要があります。路上駐車や長時間駐車は控えるのがマナーです。 -
量・重さ・梱包を意識
魚介類や氷が使われている商品は重さや水漏れのリスクがあります。特に旅行者は保冷バッグやプラスチック用の予備袋を準備しておくと安心です。
また、配送を希望する場合は、梱包・送料をあらかじめ確認・交渉しておくとトラブル予防になります。 -
冷静な目利き・価格交渉
市場では「威勢のいい掛け声」「即決交渉」が見られる場面もあります。商品を比較しながら、相場観をつかみつつ対話を楽しむのも醍醐味です。
ただし、最初から強い交渉姿勢をとるより、まず商品や店主との会話を楽しむ姿勢が好まれることもあります。
まとめ:柳橋連合市場で得られるもの
柳橋連合市場は、単なる市場の枠を超え、食べ物・商売・文化・交流を含んだ「場」としての魅力を持っています。新鮮な食材を手に入れる喜び、店主との対話、昭和レトロな風景、そして市場ならではの食体験――これらが複合的に絡み合って、来訪者に深い印象を残します。
もしあなたが福岡を訪れる際や地元の面白い場所を探されているなら、柳橋連合市場はぜひ足を運んでほしい場所の一つです。散歩感覚で通路を歩きつつ、目に留まったお店で声をかけ、気になる魚や珍しい加工品を選んでみてください。いつもよりちょっと早起きして、市場の顔が最も輝く時間を体感してみるのもおすすめです。















