福岡市の東側に位置し、コンパクトながら高い人口密度と優れた立地条件を誇る街、志免町。今回は、弊社 栄信不動産 のブログとして、志免町における「人口増加」の背景と、町が「市制移行(あるいは『市』になる可能性)」を視野に入れているという観点から、住まいや土地活用、不動産市場への影響も含めて整理してみたいと思います。閲覧いただく方には、志免町の「今」を知っていただき、将来の住まいや投資を考える上でヒントになれば幸いです。
1.志免町の基本データと時代的背景
まず、志免町の基本的なデータと、町が現在置かれている状況を整理します。
位置・面積
志免町は、福岡県糟屋郡に属し、福岡市のすぐ東側(福岡空港の近く)という立地にあります。
その面積は 8.69 km² という非常にコンパクトな町で、福岡県内では3番目に小さい町です。
人口・人口密度
人口は直近の国勢調査や町のデータ等によれば、約4万6千人台で推移しています。例えば、令和2年の国勢調査では「46,377人」などの数字が出ています。
この面積に対して人口規模があるため、人口密度は 約5,300人/km² に達しており、これは全国レベルでも「町村」カテゴリとしてはかなり高水準です。
歴史的背景と住環境の変化
かつて志免町は、炭鉱(炭鉱業)で栄えた町でもあり、町のシンボルでもある「旧志免鉱業所竪坑櫓」などがその名残を留めています。
しかし、炭鉱が閉山・縮小した後、福岡都市圏のベッドタウンとしての役割が強まり、住宅開発、商業施設の出店、交通アクセスの改善などにより人口を維持・増加させる街へと変化しています。
2.人口増加の実態と要因
では実際に「人口は増加してきたのか/どのような傾向があるか」、そして「なぜ増加してきたか(要因)」を整理します。
増加傾向の確認
・町公式のデータによれば、令和元年11月時点で46,289人。
・国勢調査によれば、2020年時点では46,377人で、5年前と比べて2.5%の増加という分析があります。
・将来推計では、今後も微増傾向が続くという見込みが出ています。
以上から、志免町では「人口増加」ないし「増加維持」の流れがあると言えます。
ただし、「爆発的に増加」というわけではなく、住環境整備と交通・立地の強みを生かして安定して人口を維持・少しずつ増加させてきたというニュアンスが強いです。
増加の背景・要因
以下、主な要因を列挙します。
立地優位性
・福岡市の中心部までアクセスが良く、福岡空港も近い。
・福岡市に隣接ということで、都市と住宅地の「いいとこ取り」が可能。
住宅・ベッドタウンとしての開発
・町が都市計画マスタープランで「福岡市に隣接する立地特性から、人口は増加傾向にあり、土地利用の更新も進みつつあります」と明記しています。
・商業施設や交通利便施設の整備が進んでおり、暮らしやすさが向上しています。
コンパクトな町域ゆえのメリット
・面積が小さいということは、交通・インフラ・生活施設が集まりやすく、効率的な町づくりが可能。
・人口密度が高く「町としての活気」があることが、逆に住みやすさ・利便性を感じさせることにもつながります。
行政・将来ビジョンの明示
・町が「みんなで未来をつくるまち」などを掲げて、人口・まちづくりを意識したビジョン策定を行っています。
こうした複数の要因が重なって「住まいを求める世帯(特に子育て世帯)」「福岡市で働く通勤者」「交通利便を重視する生活者」などにとって魅力的な選択肢になっていると言えます。
今後の課題も確認
ただし、人口増加・維持には課題もあります。例えば、将来人口推計では2045年以降は減少に転じるという見通しも出ています。
また、住宅地・商業地としての成長が進んでいる一方で、町域が非常にコンパクトであるため、空き地・再開発の可能性に制約がある点、インフラの老朽化や維持管理コストが出てくる点、都心への依存度が高い構造という点が今後の検討課題となります。
3.「市」への移行をめぐる現状と可能性
次に、町が「市」になる、あるいは市制移行という視点から志免町の現状を整理しておきます。
市制移行・合併の動き
自治体が「町」から「市」に移行するには、一般的に人口規模・財政力・行政体制・住民意向などさまざまな条件があります。例えば、福岡県では「市制移行型(人口5万人程度)」という類型が言及されています。
志免町に関して、「人口5万人さえクリアすれば市になれるわけです。隣接のどの市町村と合併しても可能です。」という町民投稿も存在します。
また、ネット上では「粕屋町・志免町は単独で市政施行する可能性が高い」という見方も出ています。
一方で、実際には、過去に近隣町との合併協議(例:宇美町・須恵町との合併案)もありましたが、現在は町単独で町制を継続する方針と理解されています。
志免町が「市」になるためのポイント
志免町が「市制移行(あるいは市になる)」を現実のものとするためには、以下のようなポイントが重要です。
人口規模・人口動態:現在で約4.6万人という規模は、5万人を超えれば「市制移行型」の候補になるとされているため、人口の増加や安定化が鍵となります。
財政基盤・行政体制:市になるためには町よりも広い行政権限・責任を担うため、税収、歳出、行政人員・組織の整備、住民サービス水準の確保が求められます。
住民の意向・合意:市制移行(あるいは合併して市になる)には住民の支持が重要です。過去の合併協議が破綻している点は、慎重な進め方を示唆します。
地域のアイデンティティ・ブランド化:市となることで、名称・ブランド・行政の魅力が高まり、住民・企業誘致等にメリットが出るという意識を町が共有しておくことが望まれます。
開発・土地利用・交通インフラ:市としての魅力度を高めるため、住宅・商業・インフラ開発が進んでいること、アクセスの良さが裏付けられていることが強みとなります。志免町ではその点が既に進んでいます。
志免町の場合:強みと留意点
志免町には、市制移行の検討において以下のような「強み」があります。
福岡市・福岡空港に近接する優位な立地。
住宅開発・ベッドタウンとして定着してきた実績。
人口密度が高く、町としての“都市的な”要素を備えている。
町が将来ビジョンを策定しており、まちづくりの意識がある。
一方、留意すべき点もあります。
面積が小さい(8.69 km²)ため、物理的な拡張余地・土地活用の余地が限られる。
町単独で「市」になるためには人口・歳入・行政サービス体制の更なる強化が必要。
住民の合意・理解、隣接自治体との関係構築が重要であり、過去の合併検討の経緯も考慮する必要がある。
4.不動産・住まいの観点から見る志免町の魅力
弊社「栄信不動産」という立場から、志免町における不動産・住まいという観点で、特に注目すべきポイントを整理します。
住まいを選ぶメリット
福岡市中心部に通勤・通学を考える方にとって、志免町は「都市利便性」と「住宅地としての安心感」のバランスが良いエリアです。
面積が小さい町ですが人口が比較的多いため、生活利便施設(スーパー・医療・教育)が揃ってきています。
土地・建物の価格水準が、福岡市中心部と比べて比較的抑えめである場合が多く、住まいのコストパフォーマンス面で選択肢になり得ます。
今後、町が「市」を目指すという方向性がある場合、住まいや土地の資産価値にも将来的なプラスの影響が期待できるかもしれません。
土地活用・投資観点
面積が小さいながらも、幹線道路整備・商業施設立地・住宅地造成などが進行しており、再開発・土地活用のポテンシャルがあります。例えば、「(仮称)粕屋町仲原東・志免町別府土地区画整理事業」が始まっています。
東急不動産|環境とともに、街とともに。
町が市制移行を視野に入れる構えがあるということは、町のブランド力・行政サービス・都市インフラがさらに強化される可能性があるという見方もできます。
ただし、面積が狭いため、大規模な分譲地や新興住宅街の余地が限られており、「選ばれる立地/街区/物件」で差別化される傾向が強まるかもしれません。
注意すべきポイント
人口が増加傾向とはいえ、将来は微減転換の可能性も指摘されており、長期的な価値維持・住み続ける環境整備という観点での検討が必要です。
町域が小さく、交通・駐車・建物高さ制限(近くに空港あり)など、開発・居住面で制約があるエリアもあります。例えば、旧空港ルート制限など。
「市」になる/ならないに関わらず、住まいづくり・投資判断は「立地の良さ+将来のインフラ・街づくり動向+物件の質・適正価格」の観点で検討すべきです。
5.栄信不動産が提案する「志免町で住まいを考える3つのポイント」
弊社として、志免町で住まいを探す/将来投資を検討するという読者に向け、3つの「押さえておきたいポイント」を提案します。
ポイント①:駅・交通アクセス/主要都市への距離
志免町は福岡市中心部・福岡空港に近接しています。通勤・通学・出張・旅行など、移動時間の短さは生活の質に直結します。住まい選びでは、「駅・バス停・主要道路」へのアクセスをまずチェックしてください。
また、今後交通インフラや幹線道路の整備が進めば、さらに価値が高まる可能性があります。
ポイント②:将来のまちづくり・「市」への移行の可能性
住まいを長く維持するならば、まちの将来ビジョン・行政の動き・街区形成などを確認しておくことが重要です。志免町では、「人口維持・増加」「土地利用更新」「将来ビジョン策定」などの動きが出ています。
市制移行の可能性や、町のブランド強化・行政サービス向上という動きがあれば、住まいや土地の資産価値にもプラスに働くでしょう。
ポイント③:物件・街区の特性・将来環境
コンパクトな町域であるゆえ、「街区・物件の質」が重要になります。具体的には:
駐車場・駐輪場・緑地・公園・教育施設・商業施設の近さ
建物高さや日照・風通しといった環境条件(空港近くゆえの制限も)
将来の用途変更や再開発余地(街区整備が予定されているか)
資産価値を見据えた築年数・修繕計画・管理状況
こうした観点で「住んで良い」「長く住める」「資産としても価値が見込める」住まいを選ぶことをおすすめします。
6.まとめ:志免町の魅力と “市” を見据えた住まい戦略
改めて整理すると、志免町には以下のような魅力と可能性があります。
福岡市近郊という優位な立地、交通アクセス・都市利便性が高い。
住宅地としての実績があり、人口増加・維持の傾向が出ている。
コンパクトながら活気のある町域で、住まい・生活インフラが整ってきている。
「市制移行」という将来の可能性・まちづくりの方向性があり、住まいや土地を考える上でプラスの材料となり得る。
一方で、「市」になるまでの条件・物件・住環境には注意点もあるため、住まいを探す・投資を考える上では、上述のポイントをしっかり確認することが大切です。
弊社栄信不動産としては、志免町を含む福岡都市圏の住まいや土地選び・資産活用について、今後も最新の情報をもとにご案内してまいります。
志免町で「住む」「投資する」「長く暮らす」ことをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。