はじめに
物件情報を見ていると、「駅から徒歩1分」「コンビニまで徒歩3分」などの表記をよく目にします。
しかし、「徒歩1分って実際に何メートルなの?」と思ったことはありませんか?
この記事では、不動産広告で使われる「徒歩○分」の距離の基準や、実際の体感との違い、注意点などをわかりやすく解説します。
【1】徒歩1分=約80メートルというルール
不動産広告では、「徒歩1分=80メートル」と定められています。
これは「不動産の表示に関する公正競争規約」というルールで決められた公式な基準です。
つまり、「駅まで徒歩5分」と書かれていれば、
80メートル × 5分 = 約400メートル
という距離を意味します。
この基準は、成人が1分間に歩く平均距離をもとにしており、ゆっくり歩いても速足でもない「普通の歩行速度(約4.8km/h)」を前提にしています。
【2】「徒歩○分」は信号待ちや坂道を考慮していない
ここで注意したいのが、「徒歩○分」の表示はあくまで距離を時間に換算したものであり、実際の所要時間とは異なる点です。
たとえば次のような要素は考慮されていません。
信号の待ち時間
横断歩道の有無
坂道や階段
混雑状況(通勤時間帯など)
個人の歩行スピード
そのため、「徒歩5分」とあっても、実際に歩くと7分以上かかることも珍しくありません。
【3】徒歩時間の計算方法の例
不動産広告では、地図上での直線距離ではなく「実際に通行可能なルート」で計測されます。
Googleマップのように最短経路を選び、距離を算出します。
例:
物件から最寄駅までの距離が480m → 480 ÷ 80 = 6分
→ 小数点以下は切り上げるため「徒歩7分」と表記されます。
つまり、たとえ6分20秒でも、「徒歩7分」として表示されるわけです。
【4】実際の感覚ではどう感じる?
「徒歩1分=80m」と言われてもピンとこない方のために、距離感の目安を紹介します。
徒歩時間 距離(目安) 感覚の例
徒歩1分 約80m 家の前の角を曲がる程度
徒歩3分 約240m コンビニまで
徒歩5分 約400m 小学校の正門まで
徒歩10分 約800m 駅1~2区間分くらい
徒歩15分 約1.2km 博多駅~キャナルシティ間ほど
博多周辺で言えば、「博多駅筑紫口からヨドバシ博多」までが徒歩約3分(約240m)です。
【5】「徒歩○分」はあくまで目安
「徒歩○分」という表記は、あくまで比較のための目安です。
物件を選ぶ際は、実際に現地で歩いてみることが一番確実です。
特に以下のようなケースでは、数字だけを信じないようにしましょう。
坂の多い地域(東平尾や志免町など)
大きな交差点を渡る必要がある場合
道が狭く、歩行者が多い通学路沿い
夜間の街灯が少ないルート
地図アプリやストリートビューを使って、実際の経路や安全性を確認するのがおすすめです。
【6】自転車・車の場合はどうなる?
徒歩以外の交通手段では、目安が大きく異なります。
移動手段 1分あたりの距離 徒歩との比較
自転車 約250m 徒歩の約3倍
自動車 約700〜1000m 徒歩の約9〜12倍
そのため、「自転車で5分」は「徒歩15分程度」の距離感です。
【7】不動産広告での注意点
不動産広告には、誤解を招かないようにするための細かなルールがあります。
「徒歩○分」もその一つで、公正取引委員会が監督しています。
主なルール
80m=1分で統一する
小数点は切り上げる(6.1分 → 7分)
実際に通行できる経路を使って計算
徒歩以外の手段を混同しない(バス+徒歩などは別表記)
これらを守らないと「不当表示」とされ、業者は指導を受ける可能性があります。
【8】物件選びでのチェックポイント
物件情報の「徒歩○分」表記を見るときは、以下の点を意識しましょう。
駅・バス停・スーパー・学校など何に対しての徒歩か?
→ “駅まで徒歩5分”と“スーパーまで徒歩5分”では利便性が全く違います。
実際に通る道の安全性
→ 夜道や車通りが多い道路か確認。
生活リズムに合うか?
→ 通勤・通学時間帯の混雑を考慮する。
地図上の直線距離に惑わされない
→ 必ず「歩けるルート」で考える。
【9】まとめ
不動産広告で使われる「徒歩1分=80m」は、全国共通のルールに基づいた目安です。
実際の距離感とは多少の差が出るため、「徒歩○分」の数字だけに惑わされず、
現地確認や地図アプリを活用して、自分の感覚で確かめることが大切です。
物件探しでは、「数字よりも実際の暮らしやすさ」を重視することで、
後悔のないお部屋選びができます。
✅まとめポイント
徒歩1分=80m(不動産広告の全国ルール)
信号・坂道・混雑などは考慮されない
小数点以下は切り上げて表示
実際の感覚とズレることがあるため、現地確認が重要