隣の家とのベランダの境目にある隔て板は、火事などの非常事態が起きたときに破って安全な場所に向かって進むためのものです。
避難訓練でも実際に破ることのできる機会はあまりないため、いざというときに本当に破れるのか、どの方向に向かって進めば良いのかをはっきりと理解していないと不安ですよね。
そこでこの記事では、隔て板の材質や目的などの基本から、破り方のコツや注意点をお伝えし、万が一のときにスムーズに動くための情報をお届けします。
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弊社へのお問い合わせはこちらベランダの隔て板の材質から破り方を解説
ほとんどの集合住宅のベランダの端にある、あの板の名前をご存じない方も多いでしょう。
ここでは「隔て板」で統一して記載しますが、他にも「仕切り板」「蹴破り戸」「隔板(かくはん)」「ベランダ隔て」「戸境壁(こざかいへき)」など、さまざまな呼び名があります。
その目的や材質から破り方を考えてみましょう。
隔て板の目的
普段はプライバシーを守るための壁として機能していますが、非常時にこそ真価を発揮するのが隔て板です。
火事などの非常事態が発生したときは、避難ハッチなどの脱出経路に向かって進むために、いざというときには破って隣の場所に行けるようになっています。
なかには扉のようになっている開閉式のものもありますが、それだと通常時もかんたんに開け閉めできてしまうため、防犯面やプライバシー保護の観点から不安を感じる方もいるでしょう。
そのため、通常時は固い壁としての役割で、火事などが起きたときには破って進むようになっているものが一般的です。
隔て板の材質
板の材質は、ケイカル板とフレキシブル板の2種類のどちらかが使われています。
これらは水にも強く、耐火性にも優れており、サイズも変わりにくいという特徴があるため、たとえ火事のときでも変形したりすることがありません。
ケイカル版は強度が弱めなので、低層のアパートなどの集合住宅で使われることが多いです。
それに対してフレキシブル板は材料にセメント質が含まれているので、ケイカル板より重く丈夫で、タワーマンションなどでも使われています。
ケイカル板と比べると、フレキシブル板の強度は2倍以上です。
そのため、フレキシブル板が採用されている場合は、より破るのが大変だとも言えます。
また、厚みが違うと強度にも大きな差が出るため、どんな材質でどんな厚みのものなのかを確認してみると良いでしょう。
いずれにせよ、通常時は壁としての役割を果たせるくらい、かんたんに壊れない強度がありますので、力の弱い方だと工夫が必要です。
ベランダの隔て板の破り方のコツ
破れるとは言ってもそれなりに頑丈なので、力の強い方であれば、なにも考えずに蹴れば破れるかもしれませんが、力の弱い方であればコツを知っておかないと苦労するかもしれません。
身ひとつでできるものから、道具を使うものまで幅広くご説明します。
靴底を使って蹴る
まっすぐ正面からつま先で蹴破ろうとしてもなかなかうまくいきません。
足を怪我する危険性もありますので、靴底を使うことを意識しましょう。
さらに、かかとで蹴り上げるイメージで蹴れば、壁に当たる面積が小さくなり、一点にかかる力が大きくなるため、うまく突破できる確率が上がります。
なるべく足裏のしっかりした靴を履いておくと良いですね。
後ろ蹴りで蹴る
後ろ向きで蹴ることによって股関節の可動域が広がり、力が込めやすくなります。
また、対象を正面から見ないことによって恐怖心が和らぎ、思い切り力を出しやすくなるのもポイントです。
なにかにつかまって蹴る
支えとなるものをしっかりと掴んだうえで蹴ることで、上体が安定し、力を入れやすくなります。
蹴ったあとの反動で転んでしまうこともなくなりますので、より安全です。
ベランダの柵をつかみながら蹴られる場所にあれば良いのですが、柵がちょうど良い場所になければ、他につかめるものはないか、事前に確認しておきましょう。
同じ場所を蹴る
一度で破れなかったときは、めげずに同じ場所を何度も狙って蹴ると良いでしょう。
目には見えなくても、少しずつダメージは蓄積されているので、いろんな場所を蹴るのではなく、ピンポイントに同じ場所を蹴り続けたほうが破りやすくなります。
道具を使って破る
非常時に自分の足だけで蹴破るのは大変そうだ、と感じるのであれば、道具を使って破りましょう。
フライパンや鍋でも良いですし、金属バッドやハンマーがあればより破りやすくなります。
こちらも躊躇せず、思い切り力を入れて道具を振りましょう。
焦らない
隔て板がなかなか破れなかったとしても、焦ってはいけません。
焦りによる二次災害で思わぬ怪我をすることもありますし、焦れば焦るほどうまくいかないこともあります。
ある程度時間がかかるものだ、頭に置いておき、時間がかかっても落ち着いて対処するように心がけましょう。
ベランダ隔て板の破り方を実践するときの注意点
このように破り方のコツをつかめば問題なく破ることができます。
そのための準備や、そのあとの避難のときに気を付けたい注意点をご紹介します。
靴底がしっかりした靴を置いておく
使い古したものでかまいませんので、ベランダには一つ靴を置くことをおすすめします。
非常時に裸足やベランダサンダルでは、板を蹴るのも大変ですし、破れたとしても破片やそのあとの避難でも怪我をしやすくなります。
袋に入れるなどして、非常時に備えた靴を置いておきましょう。
必要に応じて道具を置いておく
非常時にうまく蹴破る自信がない方は、あらかじめ板の近くに破るための道具を置いておくといいでしょう。
そのための金属バッドを置いておくのも良いですし、使い古したフライパンでも結構です。
非常時は誰もが混乱しますし、キッチンから道具を取る暇もないかもしれません。
事前に準備しておくと安心ですね。
避難する方向を確認しておく
隔て板のどちらか片方には「非常時は、ここを破って隣戸に避難できます」などの表示があるはずです。
避難するときは、表示のある方向に向かって進むことで、避難器具が設置されている場所にたどり着くことができます。
ただし実際の火災では火と反対方向に向かっていくのが大前提のため、必ずしもこの方向に行けば良いとは限らない、ということも覚えておくと良いですね。
ただ、避難ハッチのある場所の方向を確認しておいて損はないので、自分の部屋からどの方向に進むのが基本なのかは事前に確認しておきましょう。
破片で怪我をしないための注意点
隔て板を破ったら、ギザギザに割れることが多いです。
焦って小さな穴から無理に通ろうとすると破片で怪我をしてしまいますので、人が通れる大きさになるまで穴を開けましょう。
蹴破ったときに勢い余って向こう側まで踏み抜き、足を怪我することもありますので、念を入れるなら裾が絞ってあるしっかりした素材の長ズボンを履いておくとより安心です。
周りに物を置かない
隔て板にも記載がある基本的なポイントですが、重要なことですので改めてお伝えさせていただきます。
せっかく通れるようになっても、その周りに物があって移動することができなければ意味がありません。
自分だけでなく、避難してきた同じ建物の方にも大きな影響を与えてしまいますので、くれぐれも物は置かず、非常時にスムーズに動けるように動線を確保しておきましょう。
まとめ
ベランダにある隔て板の材質や、破り方のコツや注意点をお伝えしました。
いつもは気にすることがないかもしれませんが、いざというときにスムーズに避難し、命を守るために、事前に知識を身につけておくと良いですね。
ご自身の部屋の隔て板を確認し、必要に応じて準備をしながら、万が一の事態に備えておきましょう。
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