賃貸借契約をする際に、時折目にする「瑕疵物件」という言葉をご存じでしょうか。
専門的な単語であり、聞き慣れない方も少なくないと思いますので、詳しくご説明させていただきます。
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「瑕疵」とはどういう意味だろうか
賃貸物件を借りようとしたときに「こちらは瑕疵物件です」と提示されることがあります。
まず、見慣れない文字なので読み方がわかりづらいですが、これは「かしぶっけん」と読みます。
瑕疵とは、きずや欠点のことを指し、「通常あるべき品質・性能・機能・状態」から何らかのことが欠けているときにこのように定義付けます。
住宅の場合でいうと、住む人によってマイナス要因となる何かが存在しており、不具合や欠陥があるということです。
では、その「マイナス要因となる何か」というのはどういうものを指すのでしょうか。
事故物件とは限らない
住宅に関してのマイナス要因と聞くと、事故物件と考える方が多いと思います。
もちろん事故物件もそのうちの1つではありますが、実はそれだけではありません。
瑕疵物件、いわゆる訳あり物件にはいくつかの種類があります。
まずは物件や土地そのものに破損や欠陥がある「物理的」なものです。
次に物件内で事故・事件などのトラブルが発生したことがあり、気持ちの部分で躊躇してしまう「心理的」なものもあります。
代表的なものとしてはこの2つなのですが、このほかにも「法的」や「環境的」といったものもあります。
法的瑕疵物件とは、その名のとおり法的に問題がある物件のことをいいます。
たとえば建物の構造や安全基準などに違反しているため、建築基準法に抵触している物件や、設備そのものが古くて消防法の基準に達していない物件、認められていない地域に物件が建っているなどで都市計画法に抵触している場合などがそれに該当します。
環境的瑕疵物件は、たとえば近くに火葬場や葬儀場、墓地のような施設がある場合や、風俗営業店や遊戯施設など教育上の影響が考えられる施設がある場合などが該当します。
ご紹介した4つのパターンのいずれかに該当する賃貸物件では、賃貸借契約前にその事実について告知をする義務があります。
住む側にしてみれば、入居後に問題がある物件だということが判明した場合は日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
それを避けるためにも、貸主側には必ずその事実を伝える必要があります。
ただし「環境」に関する欠点については、人によって感じ方が違うことやそれぞれのケースの度合いにもよるため、告知が必要ないケースもあることは頭の片隅に置いておきましょう。
物理的瑕疵物件とは
上でご紹介した4つのパターンのうち、物理的な部分について詳しくご説明したいと思います。
具体的な内容
まず挙げられるのが、シロアリによって建物の基礎部分や柱などが被害にあっている場合や、自然災害によって地盤の緩みがある場合、床下浸水に遭ったことがあるなど、建物や土地そのものに欠陥があるものをいいます。
そのほかにも雨漏りがする、壁などにひび割れがある、土地の下になんらかの障害物が埋まっている、現在の耐震基準を満たしていないなども含まれます。
このように建物や土地に欠陥がある場合は、目にも見えるものもありますし、専門家が調査をすれば一発で見抜くことができるものばかりです。
とはいえなかには地盤の緩みなど、目には見えないものもありますので、気になることがあれば必ず賃貸借契約前に確認しておくようにしましょう。
貸主側の告知義務とは
物理的な瑕疵がある場合、貸主である大家さんには借主への告知義務があります。
もしも告知なく契約を進めた場合には、大家さんには契約不適合責任が発生し、万一の場合は損害賠償請求をされるため、告知をしない大家さんはいないでしょう。
しかしあまり悪いことは進んで言いたくないのが人間です。
契約時に「重要事項」として説明をしてくれますが、少しでも不安を感じたら、納得いくまで詳細を確認するようにしましょう。
また、口頭での説明だけでなく書面としても提出してもらう必要があります。
書面を手渡されたら、後で悔やむことのないように、こちらも隅々までチェックすることをおすすめします。
ちなみに、瑕疵物件の場合は、家賃は相場よりも安く借りられるケースがほとんどです。
安くなるのはおおよそ1割程度ですので、物件の欠陥がどの程度生活に影響するのかを考えた上で、お得なのかどうかを検討された方が良いでしょう。
心理的瑕疵物件とは
次に多いのが「心理的」な訳あり物件についてご説明をします。
いわゆる事故物件といわれるものですが、建物を見る限りわかりようのない情報ですので、どのような物件をいうのかをご紹介しましょう。
明確な基準が定められない
心理的瑕疵物件には、これがあると瑕疵と認定されるといった明確な基準はありません。
物理的なものとは違い、感情によって左右されるものですので、借主側の感情が重要となってきます。
事故物件とは、自殺や他殺、事故死や孤独死などがあった物件のことをいいますが、人によっては孤独死ならば問題ないと判断する場合もありますし、住みたくないと明確に気持ちを決められている場合もあります。
ほかにも、事故物件ではないものの暴力団員が住んでいるために事件が発生する可能性があるといったケースも、心理的な瑕疵があると認められるケースがあります。
具体的な判断ケース
過去に実際にあったケースをいくつかご紹介しましょう。
まず賃貸借契約しようとしている部屋で、自殺や殺人などが起きた場合です。
これはほぼ100%といってもいいほどの人が、快く契約したいと思うことはありません。
また、該当する部屋でない場合でも、同じ賃貸物件の別の部屋で残虐な事件が発生した場合などは、その物件そのものを避けたいと思う方も多いでしょうから、そういう場合は物件そのものに瑕疵があるとして判断されたケースもあります。
そのほか、周辺に心霊スポットや墓地などがある場合、異臭がする施設がある場合、刑務所がある場合など幅広いケースで瑕疵物件だと判断されたケースがあります。
それほど人によって受け取り方が違ったり、許容範囲が違ったりするものですので、心理的な瑕疵があると認められるケースは幅広いものです。
大家さんから話を聞くなかで気になることがあれば、相談してみるのも良いでしょう。
ただ、借主の心情が重要になるとはいえど、個人的な感情による嫌悪については認められるものではありませんので、無理難題を押し付けることは控えておきましょう。
告知義務はいつまでなのか
いわゆる事故物件に関しては、告知する必要があるとされる期間そのものは、明確には決められていません。
しかしながら、ある程度の基準がないと借主側としても判断できないため、多くの不動産会社では目安を設けています。
その目安は、事件や事故からの経過年数としては、おおよそ2〜3年程度で、かつ事件や事故の発生から1人目の入居者までというケースがほとんどです。
心理的瑕疵物件への入居は、本人の気持ちによるところが決め手となりますが、大きなメリットとしては、家賃が安く借りられることが挙げられます。
この値下げ幅は、物理的なものでは1割程度にとどまりますが、心理的なものではおおよそ3割以上値下げされるケースも散見されます。
もしも、特に気になることはないと判断できるのであれば、かなりお得な物件として住めるので検討の余地はあるのではないでしょうか。
まとめ
瑕疵物件について、どんな物件のことなのか、どんな種類があるのかなどをまとめました。
賃貸物件であれば気軽に引っ越せるので気にしない、という方もいらっしゃるかと思いますが、住み始めたあとで悔やんでもすぐに問題が解決するわけではありません。
住居は生活の基盤となる場所でもありますので、納得いくまで検討したうえで入居を決めることをおすすめします。
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